短編小説『光の射すほうへ』を最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。この文量で400字詰め原稿用紙に換算して114枚になります。ここまで短編小説は20枚強から40枚弱くらいのを書いていましたので、これだけ書くのも凄く疲れました。
自分はどんな話が書きたいかな、というと「人が回復する話」を書きたいと思っています。傷ついた人が、それを乗り越える話。でも、一人だけで、自分の力だけでそれができるほど強い人間を書きたくないし、ある意味、『光の射すほうへ』は自分の原点のような話です。
イメージとしてあったのは1995年にテレビ東京系で放送された『新世紀エヴァンゲリオン』の弐拾伍話『終わる世界』と、最終話『世界の中心で愛を叫んだケモノ』だったように思います。後のアニメにも大きな足跡を残し、日本アニメ史に燦然と輝くこのアニメですが、放送当時は視聴率も低く、打ち切りに近い終わり方でした。数々の謎や複線を回収できないまま、主人公の内面世界の葛藤の描写に終始したラスト2話は、賛否を呼びました。
見ていた当時は高校生で、その内容の深さもよくわからないまま納得のいかない最終回と思っていましたが、今思うと、「逃げちゃだめだ」と葛藤を続け、自分のアイディンティティの希薄さに悩み続けてきた主人公が、一人の個人として自立をし、自分の居場所を確立し、「自分はここにいてもいいんだ」と一つの解答に辿り着くラストは、今にして思えば、これしかないラストであったようにも思えます。
自分の稚拙な筆力では、あのアニメの深さの十分の一も描けなかったですが、「若者の自立」というのは、自分の中で、これからも考えていきたいテーマです。
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